2012年12月6日木曜日

AARミーティングの流れ - Facilitating an AAR Meeting

皆さんお久しぶりです、三日坊主のむふぁさです。

最近AARについて話す機会があったので、 ついでに此処でのAARの話の続きをします。
「次回に」とか言っておきながらかなり時間が経っちゃいましたね (><)

復習しますと、AARは訓練の計画とその結果を綿密に比較・分析し、教訓を打ち出し、その過去の教訓を確実に未来の実践に繋げる行程であり、それがめっちゃんこ重要なんだよだと以前説明致しました。それで、AARミーティングの前に最高のミーティングになる様、ハウスルールを共有します。

ハウスルールを共有した後は、本日の本題の状況、目的、計画、結果、検討です。

状況

まずは状況の復習です。
日本人が「空気を読め」と口酸っぱく言うのは、その人が状況が理解出来ていないまま行動をしてしまっているからだと私は思っています。なので、どう言った空気だったかを確認しましょう。
ごめんなさい、たまに僕も読めてません。

目的

簡単に、「皆さん、今日の作戦の目的は何でしたか?」と作戦/想定訓練の各参加者に聞きます。聞くのも答えるのも簡単に感じますが、これがまた面白い答えが戻って来たりします。私が答える時もそうです。

何がおかしいかと言うと、下達された任務と違うのです!

これが人間の心理の興味深いところなのですが、人間が外界の刺激を感じ取り、それを理解する時、必ず「解釈」と言った思考過程が挟まれます。要はこの思考過程に入力されるものと出力されるものは必ず違って来ます。ボイドのOODAループなどの認知心理学に関する論文を読まれるとお解りになれると思います。

つまり、この質問の意図は「目的をどう解釈したか」の確認をする事とも言えます。その解釈の基となる各自の経験や人生観、文化等の話をするのは有意義だと思います。

しかし、AARの発祥の米軍としては、「そもそも何をしようとしたのか」を話の筋的に一番始めに話すのが主な目的としていたと思いますw
Camp McGregorにて想定訓練中にAARを行う第32歩兵科連隊


計画

目的を基に、どの様な計画を立てたのかをリーダーなる人間が全員に共有します。対抗部隊も参加する筈なので、情報の共有の意味でも必要です。これはもしも分隊長と小隊長、組長など、複数のリーダー役がいた場合、各自の計画を共有しましょう。

先程の認知心理学の筋と同じ流れですが、目的の解釈を基にどう計画したかを見ましょう。

結果

計画の次は結果の共有です。
結果とは作戦、もしくは想定訓練で何が起きたのか、各参加者が何を経験し、何をどう判断したかなどの事実情報を、各参加者が一人ずつ話します。
この時点で各自が「反省点」を話そうとしてしまうかもしれませんが、「解釈」を避け、極力事実関係の共有だけする様にしましょう。組織としての思考過程を「状況/目的/計画/結果」の分類でその全貌を把握するのが目的なので、「結果の共有」は「検討」と極力分ける様にしましょう。

検討

最後にあるのが検討ですが、検討には以下の様な行程があります。
  • 問題点の特定
  • 原因の検索
  • 判断
この時点で「状況/目的/計画/結果」を全て羅列出来たので、これで組織としての思考過程が見えてくる筈です。

問題点の特定

問題点の特定ですが、この課程を見て、特に問題だと思う点を参加者全員から挙げさせます。その次に各問題点別に原因検索/判定/次の行動を検討します。

原因検索

「何故そうなったか」か、もしくはペリー口調で「why?」と問い、全員で考えてみましょう。ドゥカティの法則についても考えて見ましょう。以下のような質問を問いかけるといい答えが出てきます:
  • 何故成功/失敗したか?
  • 本当に成功・失敗したのか?
  • 考え方が間違っているのか?
  • 情報収集が足りなかったのか?
  • 計画性が足りないのか?
  • 技術が足りないのか?
  • 練度が足りないのか?
  • 体力が足りないのか?

判断

問題だった、なぜそうなったか、じゃあどうするか!
維持するか?改善するか?
具体的に改善するにはどうするか?
ここが一番重要だと思います、何をどう改善するかをどこまで具体的に書けるかでどこまで成長出来るかが決まってしまうと思います。理想を追求すると、いつまでに○○を出来るようにする、○○を○○から覚えるとまで明記しちゃいます。

眠いから、以上!


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2012年9月9日日曜日

HASを用いた友軍の評価 - Identifying friendly resources with HAS

皆さんこんばんは、犬派のムファサです。

今日はHASを用いた友軍の評価について触れたいと思います。

Higher 上部報告先
Adjacent 同属・隣接部隊
Subordinates 隷下部隊






自分の与えられている編成関係を把握し、与えられている全ての資源を把握することは、接触相手の評価と同様に重要です。

相手が何が出来るか、何をするかを予測しても、自らが何を出来るかを理解していないと結局何も出来ないからです。

まず、上部報告先。
上部報告先、そしてその上、またその上の上を把握していないと、予期しない事態に陥った時に、指示を仰ぐことが出来なくなります。

次に同属・隣接部隊。
同じ地域内で活動している、同じ組織内の部を指します。隷下部隊ではないので、横の関係であり、常時に直接指示をして動かすことは期待出来ませんが、緊急事態にはあらゆる応援、支援を要請ことが出来ると考えられます。
こういった部隊にはSALUTEを把握しておくことも良いでしょう。何故なら接触相手のSALUTE評価と同様、彼らの可能性が理解出来るからです。それによってどのような応援や支援を期待出来るかが解りますし、それらを要請する時により的確な要請を送れるからです。

最後に、隷下部隊ですが、これは直属の部下等を指します。
常時に直接指示をして動かすことができます。

では、今日はもう疲れたので僕の隷下部隊を紹介して寝ます。

立っているのが分隊長です。


2012年9月3日月曜日

AARの心得:ハウスルールについて
Starting an AAR: House Rules

一週間ぶりにこんばんは!
卓上戦略家のムファサです。

先週は組織が学習することの重要性についての沈考をしました。

そこで、今日はお約束の通り、米軍で行われている「組織の学習方法」である
AAR (アフターアクションレビュー) の行程を説明したいと思う。

まず重要なのが、ハウスルール。
ハウスルールはAARを行う際に参加者に必ず守って欲しいルールのことだ。

ハウスルールは3つある:
  1. 皆が積極的に参加する
  2. 遠慮しない
  3. ノートを取ろう

まず、皆で積極的に参加しよう。

この1つ目のルールだが、これは作戦に参加した全ての人間がAARに参加し、全員が必ず発言をすることを意味する。これは可能であれば対抗部隊(仮想敵など)や民間人等の第三者も含む。情報や意見を取り組めば取り組むほど、AARはより有意義になるため、インプットを最大限にするのは非常に重要だ。



次に、遠慮をしない事。

これは隊員の立場等を気にすることなく発言をするべきだとの事だ。AARを行うのは隊全体が学習をしたいがために行うわけであって、そこに組織内の上下関係・利害関係を持ち込んでしまうと誰もが遠慮しがちになってしまい、学習の妨げになる。現場慣れした人間が認識しなかった問題を新米が気付くことは稀ではない。ここで上官・上司なる人間が「遠慮するな」との具体的指示を出し、その恐れや遠慮を取り払うことで、可能な限りのインプットをAARに取り込むことが出来る。目的は1つ目のルールと似ている。


最後に、ノートを取ろう。

AARで教訓を得られても、これを記録しなければ次回の作戦を計画する際、復習が出来なくなり、よって教訓も薄れてしまうだろう。部隊の歴史上不屈の米陸軍のOPFOR(対抗部隊)はAARを全て記録し、長期に渡って蓄積することによって教訓データベースを「組織の記憶」として運営しているようだ。私も同じ目的でAAR教訓データベースを作った。

教訓を忘れない部隊は強い部隊だ。

では次回はハウスルールを参加者に説明した後の、

2012年8月27日月曜日

AARの重要性について
The importance of After Action Reviews

こんばんは、夜行性珍獣のムファサです。

先日は田村装備で行った戦術の想定訓練のAARをデータ化したものについて紹介させて頂きましたが、AARとは何なのか、そして何故それが重要なのかに点いて触れていませんでした。

今夜は題目の通り、AARの重要性についてポストさせて頂きます。

近接戦闘においても、どのような訓練においても、企業のあらゆるプロジェクトにおいても、経験を検討して、学習することは成功する組織に必要不可欠だと私は考えます。

しかし、自分の記憶を振り返ってみれば、自分の参加して来たいわゆる「反省会」とは、基本的に飲み会だったりします。もちろん、「この企画はこれが良くなかった」「次回はこれはしない様にしよう」と言った話はあがりますが、どうも落とし込みが足りないような気がするし、そもそも酒の場だからそれが記録されることもありませんでした。こういったサークルやクラブ、会社、そして部隊が多いのではないかと思ってしまいます。
私が以前働いていた会社の共済会の主催する「反省会」は反省会とは完璧な名ばかりで、カラオケバーを貸し切って飯と酒と会長が裏返った声で歌うのを聴いて楽しむのが主な趣旨となっていました。

無論、このように教訓を明確にせずにうやむやに次の企画に写ってしまう組織にいわゆる「カイゼン」は当然起きないと私は考えてしまいます。何故なら同じ事を繰り返す事しか出来ない組織と化してしまっているからなのです。例えば共済会の例ですが、彼らの主任務は毎春に新年会を企画し、開催する事です。その後に「反省会」を行うのですが、次の年になるとまた同じ様なコンセプトで同じ様な新年会しか企画出来ない上、毎年同じミスを起こしたりします。何故なら教訓を分析せず、文章化もせずに1年後の「次の計画」に教訓を活かせる訳が無いからです。

与えられている任務は人命救助に比べては重要なものではない上、会社は某国の国営企業であり、共済会のパーフォーマンスを評価する制度も会社には無かったのでそういった形をとどめていたのかもしれません。

しかし、米陸軍の歩兵部隊に課される任務は、新年会企画と同様な程度の重要度でしょうか。新年会が詰まらなくて予算がオーバーしてしまっても、共済会はただ会社の同僚の不評になるに限りますが、歩兵部隊が任務に失敗すれば人が死にます。また、民間人を誤って殺害してしまえば国交の悪化、政治的批判、隊員の起訴、陸軍の予算削減等のあらゆる圧力が部隊長に掛かります。よって、このように人命を争う現場で活躍する組織は報告書などの提出を入念に義務化する上、組織自体、そして組織の各員に改善を求めます。

改善とはこの様な組織に取って、生存に必要不可欠なものなのです。

そこで米陸軍はAARという改善のフレームワーク・仕組みを想定訓練、そして実践において利用して、全ての部隊において可能な限りの成長が遂げられる様にしています。

で、AARの実際の運用方法については次ポストにて説明したいと思います。

2012年8月24日金曜日

TTCの教訓を共有したい!
Sharing Lessons Learned from TTC CQB Training


夜遅くにこんにちは!
先週の戦術に参加された皆さんと話していた
 AARデータベースをグーグルドキュメントで作成しました。

 このAARデータベースの趣旨は皆さんの教訓をTTC中級メンバーの内で共有し、
 皆さんの成長の糧とすることです。




内容としては、各想定の一部始終を
 • 状況
 • 任務
 • 計画
 • 結果
に分けて記述しました。

それに加えて、各受講者の意見を
 • 問題点
 • 原因
 • 具体的改善点
の3項目に分けて入力する仕様になっています。

私も自分の考えた隊全体、そして自分個人としての改善点を書いてみました。

それで、皆さんにお願いなのですが、皆さんの考えも当データベースに記載して、共有して頂きたいのです。

アクセス権限は中級以上のTTC受講生に限定しています。「このメンバー内で共有しても問題ない」と思う程度の内容で構いません。又、実名での記載を控えたい方はニックネームの記載で構いません。

今後も私が戦術訓練に参加する際にこの形でAARデータベースを更新していきたいと思います。

既にアクセス権減を持っている方は、
ここからアクセス出来ます。


で、まだアクセス出来ない方は個人的に
メッセージを送って下さい。

質問等ありましたらご自由に下にコメントを下さい^^

追記:
AARの流れについて

2012年8月23日木曜日

SALUTEを用いた部隊評価方法
Evaluating the opposition with SALUTE

こんにちは、TTC戦術受講生のムファサです!

早速ですが皆さん、SALUTEをご存知ですか?

SALUTEは元々、米陸軍で開発されたフレームワークです。
敵の情報を報告する際に、抜け目無くその情報を上官に報告する為のものです。
SALUTE報告とも言われます。

相手の基本情報を把握するに際してSALUTEを頭の中で浮かべて情報を収集すると、
きっと作戦を実行する上で重要な情報に着眼することが出来ると思います。

敬礼! ....?














SALUTEの項目は以下の通りです:
Size 規模 目撃した相手の人数・台数
Activity 行動 相手は何を行っていたか
Location 場所 相手を目撃した場所、及び移動していた方角
Unit 部隊 知りうる限りの相手の所属部隊、及び団体・組織
Time 日時 目撃した日時(情報の鮮度)
Equipment 装備 相手の装備・武装












このSALUTEですが、
注目すべきなのは「行動」と「所属」、そして「装備」だと私は考えます。
行動は、簡単に言うと「相手は何を今しているのか」ですが、
所属と装備を分析すると「相手は何が出来るか」が見えてきます。

この2つを合わせて考えると「相手が何をするのか」といった非常に重要な予測が行えます。

この「相手は何をするのか」の分析項目をEnemy's Most Likely Course of Action(EMLCOA)、
即ち「敵の最も予測される行動の流れ」と言いますが、
これこそ作戦計画において必要不可欠な分析だと言われています。

EMLCOAの詳細まで説明してしまうと早々にネタ切れになってしまうので、
これくらいにしておきますね。
てへぺろ(・ω<)

参考文献:
米陸軍フィールドマニュアル21-75 第6章
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/21-75/Ch6.htm#report

自己紹介 Introductions

ブログをはじめました、田村装備開発TTC受講生のムファサです。

主にTTCの訓練や救急関係の講習で想った事、学んだこと、
フレームワークや教材、そして装備の紹介、
そして自分の目指す目標等を記載していきたいと思います。

又、当ブログは基本的にバイリンガルでポストをしていきたいと思います。
英語を勉強されたい皆様の参考になればと思います。

では皆様、RSS登録どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

ムファサ

Hello! I'm Mufasa, a devout student of the Tamura Training Center (TTC), and this is my new blog.

I will primarily be posting about lessons and skills learned in TTC courses
and emergency medicine seminars, as well as introducing related mental frameworks, texts, and equipment.
I would also be sharing what my aspirations are, so bear with me when I do.

Be advised that this blog will be bilingual.
If you're interested in learning Japanese, then I hope this becomes a good resource.

With that all being said, do please subscribe via RSS!

Mufasa