2012年8月27日月曜日

AARの重要性について
The importance of After Action Reviews

こんばんは、夜行性珍獣のムファサです。

先日は田村装備で行った戦術の想定訓練のAARをデータ化したものについて紹介させて頂きましたが、AARとは何なのか、そして何故それが重要なのかに点いて触れていませんでした。

今夜は題目の通り、AARの重要性についてポストさせて頂きます。

近接戦闘においても、どのような訓練においても、企業のあらゆるプロジェクトにおいても、経験を検討して、学習することは成功する組織に必要不可欠だと私は考えます。

しかし、自分の記憶を振り返ってみれば、自分の参加して来たいわゆる「反省会」とは、基本的に飲み会だったりします。もちろん、「この企画はこれが良くなかった」「次回はこれはしない様にしよう」と言った話はあがりますが、どうも落とし込みが足りないような気がするし、そもそも酒の場だからそれが記録されることもありませんでした。こういったサークルやクラブ、会社、そして部隊が多いのではないかと思ってしまいます。
私が以前働いていた会社の共済会の主催する「反省会」は反省会とは完璧な名ばかりで、カラオケバーを貸し切って飯と酒と会長が裏返った声で歌うのを聴いて楽しむのが主な趣旨となっていました。

無論、このように教訓を明確にせずにうやむやに次の企画に写ってしまう組織にいわゆる「カイゼン」は当然起きないと私は考えてしまいます。何故なら同じ事を繰り返す事しか出来ない組織と化してしまっているからなのです。例えば共済会の例ですが、彼らの主任務は毎春に新年会を企画し、開催する事です。その後に「反省会」を行うのですが、次の年になるとまた同じ様なコンセプトで同じ様な新年会しか企画出来ない上、毎年同じミスを起こしたりします。何故なら教訓を分析せず、文章化もせずに1年後の「次の計画」に教訓を活かせる訳が無いからです。

与えられている任務は人命救助に比べては重要なものではない上、会社は某国の国営企業であり、共済会のパーフォーマンスを評価する制度も会社には無かったのでそういった形をとどめていたのかもしれません。

しかし、米陸軍の歩兵部隊に課される任務は、新年会企画と同様な程度の重要度でしょうか。新年会が詰まらなくて予算がオーバーしてしまっても、共済会はただ会社の同僚の不評になるに限りますが、歩兵部隊が任務に失敗すれば人が死にます。また、民間人を誤って殺害してしまえば国交の悪化、政治的批判、隊員の起訴、陸軍の予算削減等のあらゆる圧力が部隊長に掛かります。よって、このように人命を争う現場で活躍する組織は報告書などの提出を入念に義務化する上、組織自体、そして組織の各員に改善を求めます。

改善とはこの様な組織に取って、生存に必要不可欠なものなのです。

そこで米陸軍はAARという改善のフレームワーク・仕組みを想定訓練、そして実践において利用して、全ての部隊において可能な限りの成長が遂げられる様にしています。

で、AARの実際の運用方法については次ポストにて説明したいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿